信天翁航海録
――かつて、船があった――
あー、あー、本日天気晴朗なれども波高し。 進路ようそろ、では出港 信天翁(アルバトロス)号。
積み込む荷物は横流し品に銃器爆薬飴玉お酒になんでもござれ、ただ阿片だけは勘弁な。
立ち寄る港は薄暗く、というより明るい陽の下には出られない。
なにしろ船員たちは船長以下人間失格の奇人の目白押し、脛に傷持つ奴が当たり前、頭がおかしい奴はこの船だと当たり前。
積み込む荷物も運ぶ船員もおかしけりゃ、泊まる先々もどこかが変だ。
海図にはない、有り得ない島に遭遇するし、海往かば往ったで幽霊船やら巨大怪魚やらに巡り会う。
こんな毎日、信天翁号の愉快な毎日、潮風に当たればちょっとくらいのおつむの病気なんか吹き飛ぶ素敵な暮らし、だからみんな乗り込んでくる―――なんでか脱走したがる奴もいるけれど。
そして前途に立ちこめるは文字通りの暗雲大波、天気最悪にして波大荒れ、しかれど船員たちの意気は絶好調。
どんな大暴風雨が吹き荒れようと、どんな三角波がおっ被さろうと、船の中のほうがもっと激しい。船員たちは嵐より狂っている。
あー、あー、信天翁号、どこから流れてなにを求めてどこへ往く、それは大いなる謎。
船長だってそのあたりの事、判っていない。
あー、あー、信天翁号、どこへ往く―――
―――なんだ、結局みんな、この船しか居場所がないんじゃあないかッ!?―――
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