英雄伝説 空の軌跡 FC シナリオブック
「英雄伝説シリーズの最大の魅力とは何か?」と問われれば多くのファンが練りこまれた上質の物語とそれを彩る個性的なキャラクターを挙げることでしょう。(次点は音楽、次は……何だろう)頭を使う謎解き、アクションゲームさながらの戦闘、アイテムや技を蒐集するやり込み、ゲームの中で好き勝手に行動できる自由度などRPGの面白さの重みをどこにおくかは作品によってまちまちですが、その中で英雄伝説は割とシンプルな要素で勝負をしているといえます。その物語の骨格となるのがシナリオ、そのシナリオを丸ごと一冊に収めたのが本書です。英伝では今までにもゲームの特典としてシナリオ本が出たことがあるのはこのコーナーの別項で解説したとおりですが、一般書籍として刊行されたのは初のことです。
500ページ近い内容は丸々全てシナリオの掲載に割かれています。余計な企画やネタは一切なし、ある意味看板に偽りなしで潔いですね。シナリオ本文中もイラストやゲームの画面写真を挟み込むことなくひたすらテキストのみです。シナリオの質はともかく本としてはちょっと手抜き感がなくもないです。掲載されているシナリオは物語の本筋のものとサブクエスト関連のものが網羅されていますが、NPCとの会話は割愛されています。まあそこ載せちゃったら本がさらに分厚くなりますからねぇ。あとはト書きについてはだいぶ省略されているようです。それとも元からこんなものだったのでしょうか?シナリオの分量は相当多いのですが、当然ながら読者にとっては全て一度(人によっては何度も?)読んだものですので新鮮な情報というのは皆無です。ゲームのストーリーを回顧するにはいいのでしょうが、それならゲームをもう一度やり直した方が……。実際は物語といってもゲームの場合テキストだけじゃなくグラフィックや音楽もついて初めて完成したものになるわけですし。
そんなわけで物語を売りにしたゲームならではのリリースではありますが、いまいち存在意義というか面白味が微妙な一冊です。コレクターアイテム以上の価値はないように思います。よっぽど二次創作をする人などにとっては資料としてある程度有用かもしれませんが。今後SCのシナリオブックなども刊行されるのでしょうか。どう考えても最低上下巻に分けないと無理っぽいですね。でもSC以降ならパーティー編成でシナリオが変わる箇所も多いしさすがにそれをゲーム中で全読破はしていないので、ちょっと読んでみたい気はします。
想读 | 读过 | 在读 | 搁置 | 抛弃 |
---|---|---|---|---|
4 | 4 | 0 | 0 | 0 |